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コラム

婚活市場の現在地②:マッチングアプリの「イベント機能」で出会いの順番が変わる。PairsもTinderも「会ってから選ぶ」へ

2026年9月24日

「プロフィールを見て、メッセージを重ねてから会う」。マッチングアプリの出会いは長くこの順番でしたが、2026年の後半に入って変わり始めています。8月にPairs(ペアーズ)が「ペアーズイベント」を、9月にTinderが「イベント」機能を日本で開始し、いずれも「まず同じイベントに居合わせて、そのあとで相手を選ぶ」流れをアプリの中に組み込みました。結論から言えば、これは婚活をしている人にとって歓迎すべき変化だと思います。写真や自己申告のプロフィールとメッセージのやり取りだけで相手を見定める「会う前の審査」に限界が来ていることを、市場の中心にいる事業者が認めたからです。画面越しのやり取りを重ねる前に、まず同じ場に居合わせることから始める順番は、会う前に消耗していた人にとって自然な選択肢になります。本記事では、2026年9月時点で何が起きているのかを公式発表をもとに整理し、それが婚活中の人にとって何を意味するのかを、東京・押上で婚活バーを運営していた元店長の視点から解説します。

※本記事は2026年9月時点の業界動向をもとにした解説です。最新の動向はコラム一覧をご覧ください。

この記事のポイント

  • 2026年8月にPairs、9月にTinderが、アプリ内のイベントに参加した人同士がそのあとでつながる機能を日本で始めた
  • 共通するのは「探す→会場でチェックイン→終了後につながる」という順番と、本人確認や写真認証を参加の前提にしている点
  • 利用者にとっての意味は、「メッセージで盛り上がってから会う」以外の選択肢が、アプリの中にも用意されたこと
  • 「会ってから選ぶ」が当たり前になるほど、場から始める婚活の敷居は下がる。場に求められるのは、会う前から会ったあとまで安心を途切れさせないこと

何が起きているのか:マッチングアプリの「イベント機能」を大手2社が相次いで導入した

結論から述べると、国内の利用者数で上位に入る2つのアプリが、2026年8月と9月に相次いで「会う場」を自社の機能として持ちました。

Pairsを運営するエウレカは2026年8月5日、「ペアーズイベント」の開始を発表しました。アプリ内の「イベント」タブから興味のあるテーマを探して予約・決済し、当日は会場でQRコードを読み込んでチェックインします。参加者はアプリ内で本人確認を済ませた人に限られ、終了後はアプリ上に参加者一覧が表示され、開催後1週間に限って無料の「メッセージ付きいいね」を送れます。イベントは全国各地でパートナー事業者と共同開催し、参加費はイベントごとに設定されています(エウレカ公式発表)。

Tinderは2026年9月17日、「イベント」機能を東京エリアで提供開始しました。アプリ内の「イベント」タブで、ボードゲーム会や読書会、カフェ交流会、スポーツ、ワークショップといった地域のイベントを探し、「興味あり」を登録すると同じイベントに興味を持つ人を確認できます。いわゆる婚活パーティーというより、趣味や体験を軸にした企画が中心です。会場でチェックインするとプロフィールに「参加済み」バッジが付き、イベント後に参加者同士でマッチできる仕組みで、参加には写真認証の完了が必須です。米国の先行導入では対象ユーザーの3人に2人が利用し、半数以上が繰り返し参加したと同社は発表しています(Tinder公式発表・同社の社内データ)。

時期主体動き
2026年3月Tinderロサンゼルスで「イベント」機能の提供を開始
2026年8月5日Pairs(エウレカ)「ペアーズイベント」を開始。参加者一覧と1週間限定の無料「メッセージ付きいいね」
2026年9月17日Tinder「イベント」機能を東京エリアで開始。写真認証が参加の前提
2026年9月末(予定)Tinder世界26都市へ拡大。東京はその一つ

何が共通していて、何が違うのか:確認しているのは「本人であること」まで

両社に共通するのは、順番と前提です。順番は「探す→会場でチェックイン→終了後につながる」で同じで、前提は、Pairsが公的な身分証による本人確認、Tinderが自撮りとプロフィール写真を照合する写真認証と、いずれも「会場に来る人がアプリ上の人物と同じ本人である」ことの確認です。違いはそのあとのつながり方で、Pairsは1週間限定の無料「メッセージ付きいいね」、Tinderは「参加済み」バッジとイベント後のマッチですが、いずれも最終的には1対1のやり取りへ戻ります。

ここで押さえておきたいのは、これらの確認が担っている役割です。両社とも、法令に基づく年齢確認に加えて、身分証による本人確認(Pairs)や写真の照合(Tinder)でなりすましを防ぐ仕組みを整えています。一方で、公的な独身証明書の提出までを参加の条件にはしていないため、独身であることを場のルールとして確認する行政の婚活支援とは、制度の設計目的が異なります。この点は、婚活市場の現在地①で整理した「独身証明つき婚活」の流れと合わせて読むと、いまの市場の全体像が見えてきます。

婚活している人にとって何を意味するのか:「やり取りしてから会う」以外の入口ができた

利用者にとっての意味は、「メッセージで盛り上がってから会う」という一本道の外に、もう一つの入口がアプリの中にも用意されたことです。

明治安田総合研究所が2026年2月に公表した調査では、25〜29歳と30〜34歳で、交際相手や結婚相手となる可能性がある人との出会いのきっかけとして「マッチングアプリ」が約3割を占めています。それだけ普及した道具の側が、メッセージの負担を減らし、「体験を共有してから選ぶ」方向へ設計を変えたことになります。会う前の不安と手間を、場と体験が肩代わりしてくれる変化だと言えます。

一方で、イベントに参加すれば必ず良い出会いがあるわけではなく、写真認証や本人確認があっても、会ってみて印象が違うことはあります。会う前に知っておきたい心構えは婚活で写真詐欺にあった時の心構えでも整理しています。

現場ではどう見えていたか:「やり取りが面倒」「会う前は盛り上がったのに」

筆者が東京・押上で運営していた婚活バーは、来店した人同士がその場で会話を始める形の場でした。約1年の運営で繰り返し耳にしたのが、アプリでのやり取りに関する二つの声です。一つは「メッセージのやり取りが面倒くさい」。もう一つは「会う前のメッセージでは盛り上がっていたのに、実際に会ったら全然盛り上がらず、やり取りに使った時間が無駄になった」というものでした。

来店客に限らず周囲からも同じ話を多く聞いていたため、大手2社の発表を見たときの率直な感想は「やはりこの方向に来た」というものでした。会う前のやり取りに時間をかけても、会ってみなければ分からないことは多い。先に会ってしまう方が合理的だと考える人が一定数いることは、現場の実感として間違いないと感じています。

これからどうなるのか:「会ってから選ぶ」が当たり前になり、場には会う前から会ったあとまでの支えが求められる

「会ってから選ぶ」はアプリの一機能にとどまらず、婚活の入口として当たり前の選択肢になっていくと考えられます。

場から始める婚活を運営してきた立場からは、この変化は脅威と追い風の両面があります。脅威は、規模の経済です。会員数と資金を持つ大手が同じ土俵に来れば、イベントの数も集客も一気に増えます。追い風は、「会ってから選ぶ」が普通になるほど、場から始める婚活を選ぶ人の心理的な敷居が下がることです。趣味や体験を軸にした、大手の大きなイベントとは違う小さな場にも人が集まりやすくなると見ています。

そのとき場の側に求められるのは、会わせて終わりにしないことです。大手2社がイベント後のつながり方をそれぞれ用意したように、会う前の安心(身元や人となりが分かること)から、当日の体験、そして会ったあとに次の段階へ進む支えまでを、分断させずにどう用意するかが、これからの場の価値を分けていくと考えられます。m.o.T.eは、人と婚活イベントをつなぐ場として、会う前から会ったあとまで安心が途切れない形で準備を進めています。自分に合う出会い方を知りたい方は出会い方タイプ診断を、いま参加できる場を探したい方は婚活イベント一覧をご覧ください。

まとめ

大手2社の動きが示すように、「会ってから選ぶ」はアプリの中にも当たり前の入口として入ってきました。婚活の進め方に、たった一つの正解はありません。向き不向きがあり、画面越しのやり取りで消耗しているなら、その方法に合わせ続ける必要はありません。結婚はゴールではなく、楽しい結婚のためには楽しい婚活が必要です。出会いの順番が変わり始めた今、自分に合う入口を選んでみてください。すべての婚活を、良い思い出に。


よくある質問

マッチングアプリのイベント機能は、誰でも参加できますか?

2026年9月時点で、Pairsの「ペアーズイベント」はアプリ内で本人確認を済ませた利用者が対象で、Tinderの「イベント」は写真認証の完了が参加の条件です。いずれも各アプリの利用登録が前提で、対象エリアや募集年齢はイベントごとに異なります。最新の条件は各サービスの公式案内で確認してください。

イベント機能を使えば、相手が独身かどうかも確認できますか?

各アプリの本人確認や写真認証は、法令や利用規約に基づいて「利用者が本人であること」や「年齢」を確認する仕組みです。公的な独身証明書の提出までは参加の条件になっていないため、独身証明の提出を必須としている行政などの婚活支援とは、確認している範囲が異なります。

メッセージのやり取りが苦手な人にとって、イベント機能は向いていますか?

向いている可能性があります。同じ場での体験や会話から始められるため、会う前にメッセージを重ねる負担を減らせます。ただし、イベントに参加すれば必ず良い出会いがあるわけではなく、参加者同士のつながりは最終的に1対1のやり取りに戻ります。しんどい方法を無理に続けるより、自分の性格に合った入口を選ぶことが大切です。


著者:押上婚活バーの元店長

2023年12月〜2025年、東京・押上で婚活BARを週末運営。毎回30〜40人規模(多い日は50人)のイベントを1人で企画・運営。婚活疲れの実態を間近で見てきた経験から、m.o.T.eを開発中。

現在、会う前から、その人らしさや魅力が伝わる婚活プラットフォーム「m.o.T.e」を準備中です。独身証明や行動の積み重ねが可視化されることで、写真の第一印象だけにとどまらない出会いを目指しています。

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