
身元確認が婚活を変える:安全な出会いの新しいスタンダード
2026年8月24日
「このプロフィール、本当なんだろうか」——婚活で新しい人と出会うたび、頭の片隅にこの不安がよぎる人は多いはずです。名前も経歴も、画面の向こうの自己申告でしかない。この不安は考えすぎではなく、実は仕組み上の根拠があります。この記事では、婚活サービスの「本人確認」の実際の中身と、身元確認のレベルで出会いの場を選ぶという安全の考え方を解説します。
この記事のポイント
- マッチングアプリに法律上義務付けられているのは、原則「18歳以上であることの年齢確認」まで
- 「年齢確認」と「身元確認(本人確認)」は別物。年齢確認だけでは、名前や実在性は確認されていない
- 出会いを入り口にした詐欺被害は急増しており、警察庁の統計ではSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は2024年に約1,272億円
- 安全性は「相手を見抜く力」ではなく「場がどこまで確認しているか」で決まる。確認レベルを場選びの基準にすることが新しいスタンダード
「本人確認済み」の中身は場によって違う
多くの婚活サービスに「本人確認済み」のバッジがありますが、その中身は一律ではありません。
マッチングアプリなどのインターネット異性紹介事業者に法律(いわゆる出会い系サイト規制法)が義務付けているのは、原則として「利用者が18歳以上であることの年齢確認」です。運転免許証などの公的書類で年齢または生年月日を確認すれば、法律上の義務は果たされます。
ここで重要なのは、年齢確認と身元確認は別物だということです。
| 確認の種類 | 確認される内容 | 法律上の位置づけ |
|---|---|---|
| 年齢確認 | 18歳以上であること | 義務(出会い系サイト規制法) |
| 身元確認(本人確認) | 実在する人物か・書類と本人が同一か | 原則任意(サービスの自主的な取り組み) |
| 独身確認 | 現在婚姻していないこと | 任意(独身証明書の提出を求める場のみ) |
つまり「本人確認済み」と書かれていても、それが「18歳以上なのは確か」という意味なのか、「実在するこの人物だと確認済み」という意味なのかは、サービスによってまったく違うのです。
身元が曖昧な場に潜むリスク
身元確認の弱い場は、悪意ある利用者にとって参入コストが低い場でもあります。
警察庁の統計によると、SNSをきっかけとした投資詐欺・ロマンス詐欺(恋愛感情を利用した詐欺)の被害は2024年に認知件数10,237件・被害額約1,271.9億円にのぼり、前年から3倍近くに急増しました。1件あたりの平均被害額は1,000万円を超え、出会いを入り口にした詐欺は「もっとも高額な被害を生む詐欺」のひとつになっています。
もちろん、婚活サービスの利用者の大半は誠実な人たちです。しかし、身元の確認が弱い場では「誠実な人と悪意ある人が見分けられないまま混ざる」ことになり、疑いながら出会うという消耗を全員に強いることになります。
「見抜く力」に頼る安全には限界がある
婚活の安全対策としてよく語られるのは、「怪しい人の特徴を見抜きましょう」という個人スキルの話です。しかし、これには構造的な限界があります。悪意ある相手ほど、見抜かれない訓練を積んでいるからです。
発想を変える必要があります。安全は個人の眼力ではなく、場の設計で担保するものです。
筆者は東京・押上で約1年間、入場時の証明書確認を必須とする婚活バーを運営していました。確認というひと手間があるだけで、来る人の層と場の空気が変わることを、運営者として実感しています。「ここにいる人は確認を通っている」という前提が共有された場では、参加者は相手を疑うことにエネルギーを使わずに済み、会話が最初から自然になります(この点は独身証明書がなぜ重要なのかで詳しく書いています)。
安全な場を選ぶためのチェックリスト
出会いの場を選ぶとき、以下を確認してみてください。
- 年齢確認だけか、身元確認まで行っているか:公式サイトの「安心・安全への取り組み」ページで確認方法の記載を見る
- 独身証明書など、独身であることの確認があるか:結婚を前提にした場なら特に重要
- 運営に通報・相談の窓口があるか:問題が起きたときの対応体制は、運営の本気度を映す
- 「確認のひと手間」を求める場かどうか:手間を求める場は不便に見えて、実は誠実な参加者のフィルターとして機能する
すべてを満たす場だけを選ぶべき、という話ではありません。ただ、「どのレベルの確認がある場なのか」を知ったうえで使うことが、消耗しない婚活の前提になります。
まとめ
「本人確認済み」の中身は場によって異なり、法律上の義務は原則18歳以上の年齢確認までです。出会いを入り口にした詐欺被害が急増するいま、安全を個人の見抜く力に委ねるのではなく、「場がどこまで身元を確認しているか」を選択の基準にすること——それが安全な出会いの新しいスタンダードだと考えます。確認のひと手間がある場は、あなたを守ると同時に、あなたの誠実さが正当に伝わる場でもあるのです。
よくある質問
マッチングアプリの「本人確認済み」バッジは信用できないのですか?
意味がない訳ではありませんが、中身の確認が必要です。法律上の義務は年齢確認までなので、「本人確認」がどのレベル(年齢のみか、実在性・同一性の確認までか)なのかをサービスの説明ページで確認することをおすすめします。
身元確認がしっかりした場を選べば、詐欺の心配はなくなりますか?
リスクをゼロにはできませんが、大幅に下げられます。確認のハードルが高い場ほど悪意ある利用者の参入コストが上がるため、被害に遭う確率は構造的に低くなります。あわせて、金銭の話が出たら関係を見直すという基本原則も有効です。
身元確認を求められるのは、疑われているようで抵抗があります
確認は「あなたを疑う」ためではなく「全員の安全を担保する」ための仕組みです。全員が同じ確認を通ることで、あなた自身も「確認済みの場にいる」という安心を受け取ることになります。
参考文献
- インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(平成15年法律第83号)
- 警察庁(2025)「令和6年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」
著者:押上婚活バーの元店長
2023年12月〜2025年、東京・押上で婚活BARを週末運営。毎回30〜40人規模(多い日は50人)のイベントを1人で企画・運営。婚活疲れの実態を間近で見てきた経験から、m.o.T.eを開発中。
現在、会う前から、その人らしさや魅力が伝わる婚活プラットフォーム「m.o.T.e」を準備中です。独身証明・行動の積み重ねが可視化される、外見だけでない婚活を目指しています。
思想を語るにとどまらず、新しい選択肢を具体的にかたちにしていくために。m.o.T.eでは、「こんな婚活イベントがあったら行きたい」というアイデアを匿名・無料で投稿・賛同できるリクエストボードを公開しています。共感が集まった提案は、m.o.T.eが主催希望者と一緒に実際の開催を目指します。